在宅介護における介護士の仕事内容は、利用者の日常生活を支援することが中心である以上、施設介護とは基本的に大きな違いはありません。とはいえ、在宅介護ならではの業務があるのも事実です。例えば食事介助もその1つで、施設での食事介助といえば別の場所で調理された料理を利用者が美味しく味わえるように、食事介助を指すのが一般的です。一方で在宅介護の場合、ケアプランによっては食材の買い出しから調理まで含むケースもあります。さらには食事後の洗いや口腔ケアまたは服薬まで、幅広くサービスを提供することもあります。いずれにしても在宅介護で食事介助する場合は、施設介護よりも広範囲なサポートを含むケースが多いのです。それに伴い、在宅介護ならではの食事介助あるあるも目立ちます。

料理の味付けに関して苦情をもらうことはよくあるケースです。また、利用者の好みに合わない食材を買ったり、食欲が落ちている原因を見逃すといったことも、食事介助の経験不足や利用者との信頼関係を築かないうちはよく起こりがちです。こんなケースに対処するには、献立を立てる段階でその日の天候や気温の他、冷蔵庫にある食材の種類や量、消費期限、利用者の体調や気分などを総合的に把握することが不可欠です。特に重要になるのが、利用者の体調や食欲に配慮した献立にすることです。献立作成の際には事務的にならず、利用者との何気ない会話の中からその表情や声の様子などを観察し、さらに食べたい料理を聞き出すのが望ましいでしょう。